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  • 中沢

繰上げ返済に見る、ファイナンス理論の違和感

筆者はいわゆる金融畑やファイナンス畑ではありませんが、仕事上、ある程度は知っておかなければならないので普通の人よりは詳しいです。

もちろん仕事においてはそれを頭に入れて諸々のことをしていますが、一歩その外を出るとまずまず真逆の価値観と言うのか思考回路で生活してしまっています。


その最たるものが、ローンの繰り上げ返済です。

以前、金融機関の子会社の投資ファンドに勤めていた時、何かの拍子にぽろっと「余裕資金ができたら、家のローンをしこしこ繰り上げ返済している」と話したときに、その場にいた全員からはバッシング(?)というより、バカにされたような口調で「なんでそんなことしてんの?」と責め立てられてしまいました。



現在の低金利の環境下においては、言わんとしていることは重々承知しています。住宅ローンの金利が0.5%だとすると、まとまったお金を繰り上げ返済するよりも、運用して0.5%以上の利益を出すのが「正解」になります。投資ファンドなんかに勤めている人はそうした理論に忠実ですので、「何あほなことを?」「お前、運用して増やすの至上命題の会社にいるんだろ? 恥ずかしくないのか?」となります。実際に言われました…。


それでも筆者は逆風にもめげずにコツコツと繰り上げ返済をしていました。もちろん仕事上、そうした状況を相手先の会社がやっていた場合には「それは間違っていますよ」と指摘はすると思います。


でも個人では、真逆の行動を。

なぜ理論に反したことをするかと言えば、リーマンショックで大損をしているので、純然たる金融投資で0.5%ですらも安定して上回り続ける自信がないからです。もう少し正確に言えば、気合を入れてそのことに時間をかなり割けばできるのかもしれません。その時間を捻出できません。繰り上げ返済をすれば、寝てても0.5%勝ち続けるような感覚になりますので、そうしてしまっています。


そこから数年経ち、初めて銀行からローンを組んで投資用不動産を買いました。

筆者のように職をコロコロ変わってきたタイプに対して、銀行は滅法冷たいです。いくつかの銀行に断られ、実際に貸してくれた銀行に当たりました。

たくさん断られてきたことを告白し、どうして融資OKが出たかを尋ねたところ、担当者はいくつか理由を挙げたのですが、その一つに「自宅の残債を減らしていたから」と答えました。



そんなメリットはあくまでもおまけの要素です。真の理由は、投資対効果を感じてしまうからです。


この株価だけ無理やり上げられ、持てる者と持たざる者の間で貧富の差が広がっているご時世に、筆者は金融投資を一切やっていません。株価が上がるニュースを見るたびに「くそっ、買っておけば」なんて思ってしまいますが。

そんな時期にも、少し前にやはり投資用不動産のローンを繰り上げ返済しています。金利は1.5%。日経平均が1日にそれ以上上がる時もあるから株式市場に突っ込んだ方が良く、ファイナンス理論からは逆行しています。


ただ計算すると、投資用不動産のローンはまだ20年以上残っていますので、いま100万円繰り上げ返済すると、支払総額が140万円ほど減ることになります。金利の複利計算とは恐ろしいです。

そうなると筆者としては、「100万円の投資で40万円のリターンを出した」という感覚になって、「良し良し」と思ってしまいます。実際にはもう少し多めに返してますので、月々の弁済額も4000円減り、手元現金がごそんとなくなったことは忘れて「あ、ちょっといいおやつを毎月食べれるな」なんて思って……。

この感覚はファイナンスの考え方では「現在価値」という概念がありますので、大間違いです。それもよく理解しています。


それでも筆者はコンスタントに勝ち続けて今の100万円を元手に40万円以上利益を出すこと、しかもパソコンやスマホの画面とにらめっこするとかせずに寝てても“100%”達成できるか?と聞かれると、NOです。しゃにむに勝とうとして多くの時間を費やすのであれば、最も得意な、事業を復活させる・伸ばすという本業や、ささやかな原稿料でくだらないことを書いてるほぼ趣味のコラムに力を入れたいと思ってしまいます。

なので、これからも粛々と繰り上げ返済をしていきます……だからいつも手元現金がないのですが。。


★楽待新聞でコラムにしようとしましたが、間違いなく炎上するので見送ったネタでした

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